おせち料理に対する意識および実態は,家庭によって差があるが,母親による影響が大きいことがわかった。要約すると次のようになる。 1)おせち料理を用意する家庭は全体の97.6%あった。そのうち全て手作りで整えている家庭は5.7%,市販品だけで済ませている家庭は2.1%であった。 2)各家庭毎の料理の品数は8~11品の家庭が多い。 3)多くの家庭で取り入れられている料理は,黒豆・田作り・数の子・かまぼこ・卵焼き・野菜のうま煮・昆布巻き・きんとんなど,伝統的なものであった。 4)祝い肴を80%以上の家庭に取り入れられており,祝い肴を三種そろえて用意している家庭は65.2%あった。 5)おせち料理のうち手作り料理は55.3%,市販品が44.7%で,各家庭の平均品数は手作り料理5.5品,市販品4.6品であり,手作り料理の方がわずかに多かった。 6)重箱を用いている家庭は62.8%あったが,年度別にみると次第に減少の傾向にある。詰め方は形式にこだわらず,各家庭まちまちであった。 7)正月に対する意識は,「家族全員で祝いたい」,「おせち料理は欠かせないと思う」,「正月用の特別の食器を使いたい」の順に高かった。 8)おせち料理の整え方について,手作りしたいと思っているものは,母親・学生とも約60%あった。両者の間に有意差は認められなかったが,「手作りしたい」という意識は母親の方が高く,「特別にしなくてよい」という意識は学生の方がわずかに高い傾向にあった。 9)母親の手作り意識別に,実際の手作り度をみると手作りの志向の高い家庭は,手作り度が高く,手作り料理の品数も多かった。 10)伝承は実家の母親から受けたものが多く,婚家より実家のおせち料理の方が,圧倒的に多く伝承されていくようである。 11)...